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登壇レポート:【Ubie×ゆめみ×Gaudiy】自律駆動するDAO的な組織づくり

はい!欧州がヨーロッパ!
ゆめみ広報担当の福太郎(@fukutaro_yumemi)です!

さて、先日代表のれいっちがイベントに登壇したので、レポート形式でお届けします!
3社合同セッションでしたが、文字数の関係で本レポートではれいっちのターンに絞っていることをご了承ください~!
ではどうぞ!


イベントプロローグ

Web3、NFTとともに注目を集めている「DAO(Decentralized Autonomous Organization)」。
DAOとは、同じ志をもつ個人が集まり、自律的に活動することで事業やプロジェクトを推進する新しい組織形態を意味します。
そんな中、昨今のスタートアップでも「自律駆動する」組織づくりに取り組んでいる企業が増えています。
しかしながら、その実態を知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、自律分散型の組織形態「ホラクラシー」を採用するUbie久保代表、DAO的なEXを重視した組織づくりを推進するGaudiy石川代表とともに、マネジメントの自動化をめざして独自の組織づくりを推進する、ゆめみ代表・片岡が登壇し、組織づくりの思想や実際の取り組み、新しい組織マネジメントのあり方について語り合いました。


登壇者

株式会社Gaudiy 代表取締役 石川裕也氏
94年生。2018年に「Gaudiy(ガウディ)」を創業。Web3時代のファンプラットフォーム「Gaudiy Fanlink」を開発・提供。Sony Music、集英社、アニプレックスなどの大手IPホルダーと協業し、Web3×エンタメ領域でグローバルを見据えた事業を展開。個人としては、LINE Payや毎日新聞など複数社でブロックチェーン技術顧問も兼任。

Ubie株式会社 共同代表取締役エンジニア 久保恒太氏
東京大学大学院工学系研究科卒。2013年東大在籍時に医師の病名予測をシミュレーションするソフトウェア及びアルゴリズムの研究/開発を開始。エムスリー株式会社で約3年、医師Q&AサービスなどBtoCヘルスケア領域のソフトウェア開発およびWebマーケティングに従事。その後2017年に阿部とともにUbieを創業。

株式会社ゆめみ 代表取締役 片岡俊行(れいっち)
京都大学大学院在学中に株式会社ゆめみ設立。在学中に100万人規模のコミュニティサービスを立ち上げ、その後も1000万人規模のモバイルサービスを成功。また、大手企業向けに5000万人規模のデジタルマーケティングの立ち上げ支援を行い、スマートフォンを活用したデジタル変革や内製化支援を行うリーディングカンパニーとしてゆめみグループを成長させ、現在はアジャイル組織・ティール組織の代表的な企業を目指して組織変革に取り組み、組織ノウハウを外部にも公開しながら日本のIT産業の発展に貢献すべく事業を展開している。


ホラクラシー(自律分散型)組織に取組んだきっかけ

石川さん:
まず、ホラクラシーの組織体制を導入したきっかけを教えてください。

れいっち:
実は弊社では昔、部長が三代続けて辞める事件がありました。
会社を辞めたのではなく、部長職を辞退したということです。
当時、僕は組織の構造に問題があったと感じていて、事業が内製化支援のためアジャイル開発が中心で、そこでクリティカルな業務システムの大きな障害がが起きてたんです。
プロジェクトマネジメントだけでも難しいのに、部長という役職で「プロジェクトマネジメント」「プロセスマネジメント」「トピックマネジメント」「ピープルマネジメント」と4つのマネジメントを担っていて、それぞれ制約条件もあって「これはムリゲー!!」と思いました(笑)。
ロールを分けて分散していこうと思って、さらに細分化していってホラクラシーっぽくなっていきました。
ただ、意思決定プロセスだけは責任者が最後決めるべきだと思っていたので、その課題が残っていたんです。
ティール組織の本を読んで、インターネット時代は組織的なものが勝つのかなと確信しました。
えいや!で導入して、以降すべての意思決定はプロリク(ゆめみ用語:プロポーザルリクエスト)でやっていくことにしました。
レビュー対象は社員全員になったため、今まで自分で決めていたことも全員に聞かなくてはいかないところが大変でしたが、10年くらいかけてそこに行き着きました。

意思決定フローはどのように導入したか

石川さん:
自立分散型組織における意思決定フローは全社で一気に入れたんですか?それとも職種ごとに入れたんですか?何かルールとかありますか?という質問がきています。

れいっち:
よくよく考えると、普段の意思決定プロセスは全部レビュープロセスだよなと思ったんです。
キャンプに行くとしてもみんなで色々考えてから決めますよね。
重要人物が全部決めているわけではないなと。
それで、ファイヤーウォール的な人がいないままやった結果、取り返しがつかないことが起きたから、しっかり承認という形のフローを作るということをレビュープロセスで決めた、だから承認プロセスもレビュープロセスが原点で生まれたと思うんです。
我々は、このレビュープロセスを全社で一気に導入したんですが、全部をレビューでするのではなく、例えば採用ならこのプロセスというように、細分化して最適化してます。

オンボーディングの工夫

石川さん:
全社定例でルールを発表してやっていくんですが、制度を理解している人と、理解していない人がいるなと思ったり、新しく入ってきた人へのオンボーディングが難しいなと思っているのですが、オンボーディングの工夫はしてますか?

れいっち:
日常の意思決定におけるレビュープロセスで「年末どこ行こうか?」とかそういうことで、みんな実は慣れているので困ってはいないのですが、たしかに「誰に何を聞けばいいのかがわからない」だったり、独自ルールの変化のキャッチアップが大変だなとは思います。
弊社では、セルフオンボーディングプログラムを作っていて、Notionのチェックリストを達成していけばポイントが貯まって、インセンティブがもらえるという内容で、新入社員の方には3ヶ月ほどかけてゆっくり慣れてもらっています。
だから、マネージャーがいないことで不都合を感じることは特にないんですよ。

石川さん:
ゆめみさんのゲームフィケーション的なものって、おもしろいですよね。

れいっち:
Web3っぽいですかね。うちではやらないことを罰するのではなく、やったらインセンティブを与えるというような形にしています。
やたらと何をしてもポイントがもらえるようになっちゃってますけどね(笑)

石川さん:
積極的にやる人と、やらない人の差があったりしないですか?

れいっち:
それは型化していて、イノベーターが先にすごいってなって、一気に過半数までとって浸透させていきます。
インセンティブを用意していて、この年末までは10万円ですよっていう期限を切る。
それで達成した人は全体会などで表彰してムーブメントを作っています。
賞与として、年3回付与しています。

石川さん:
もはやプロダクトですよね(笑)

れいっち:
お金がなくなると意欲が低下してしまうので、例えばリモート手当って、一般的には無条件で出しているじゃないですか。
でも、ゆめみの場合はリモートワークの生産性を高めるための、簡単な動きを課金条件として設定しているので「水を飲む」「運動する」などをみんな必死にやってます(笑)
定期的に必ず誰かに100万円が当たるボーナスイベントなども用意してたり楽しんでもらっています。

久保さん:
そんな珍しい制度をやり始めたキッカケはなんだったんですか?

れいっち:
社員のリモートワークの生産性をあげるためですね。

意思決定のスピードが落ちないか?

石川さん:
レビュー文化で意思決定スピードは落ちないですか?

れいっち:
むしろ早すぎてみんなが不安になるくらいですね。
うちは全部Slackで完結するんで「取締役やりなよ」「わかりました!」っていうくらい簡単な流れなんです(笑)

組織の人材レベルとホラクラシー

石川さん:
組織の人材レベルが高くない場合でも、ホラクラシーが可能なのかについてはどうですか?

れいっち:
そんな特殊なスキルっているのかな?って個人的には疑問なのですが、会社のプロセスに慣れ過ぎて、プロトコル的な組織になじんでいると不安がある印象ですが、新卒ほどゆめみの制度をよく活用してくれていて、中途入社の人は慣れていないので頑張ってるなという印象です。
だから、優秀さには関わらず慣れれば誰でもできると思ってます。

石川さん:
若手が違うなって思う提案してきたら指摘しますか?

れいっち:
レビューでリスクやアドバイスをしたりしますが、実験的な目的である施策に関してはどんな効果があるのか未知数なので、挑戦には基本的に勇気づけることを型化していて、Slackで「ナイス挑戦!」とスタンプでリアクションすると40円もらえるんですよね(笑)

レビュープロセスのツールは?

石川さん:
レビュープロセスのツールは何を使っていますか?

れいっち:
全部Slackを使ってます。Ubieさんは専用ツールがありますか?

久保さん:
海外で作られているホラクラシーをマネジメントするための専用ツールを使ってますね。

経費精算のレビュー

石川さん:
経費精算など細かな意思決定も全員レビューだとめんどくさくないですか?

れいっち:
経費精算は最も頻度高くやる承認行動だなと思っています。
正直レビューとしてやる必要はないと思っているのですが、実験的に小さなことからみんなにやってもらってトレーニングとしてレビュープロセスに慣れてもらってます。
依頼出すときも、背景・目的・効果をきちんと書いて、訓練としてやってます。

人事評価とミスマッチ時の対応

石川さん:
相場ってよくわからないですよね。市場価値は場所によって変わるし。
この人微妙だなって人が出てきた場合、どのように対応するんですか?ミスマッチが起きた時は?

久保さん:
本人から早い段階で申告・相談をもらうことがあります。
申し訳ないマッチングをしてしまったなと思うことはありました。

れいっち:
ぶら下がりをしようとする人には、社員同士でイエローカードをもらうという自律性や秩序を生むような体制になってます。
新卒も中途も、今のところそういった方はいないですし、特殊なカルチャーなので、不安に感じる方はそもそも応募しないと思います。
怠けるとか、そういうところをその制度で担保しているような形ですね。

久保さん:
イエローカードを2枚もらった人はどうなるんですか?

れいっち:
その時点で特権がはく奪されて、普通の会社っぽくなります。
全部承認が必要になったりとかですね。
イエローカードをもらう人はほとんどいないのですが、難しいのが感情的なぶつかりが生まれて仲が悪くなったりしたときに「まあまあ」という役割をするサークルを作って、それをやるのがうまい人が「もう反省しているしと取り下げよう」とかうまく話をまとめたりしています。

久保さん:
イエローカードは誰でも出せるんですか?

れいっち:
誰でも取締役制度ができてから、勝手にプロリクをどんどん作られると怖いとなって、イエローカードが生まれました。
みんな後ろから拳銃を向けられているような恐怖があるんです(笑)

性善説について

石川さん:
性善説でやっててそんな変なことにならないとは思っているんですが、それに対する思想とかコンセプトってありますか?

れいっち:実は性悪説を採用していて「人は生まれながらにして動物的な人間だから、ちゃんと教育をすることによって社会的な動物になります。
だから教育が大事であり、人は無限の可能性をもっている」という考え方です。
本能的に人は怠けるものなのでしっかり可視化して評価する、自分が何をしているのかを可視化し、先ほどのインセンティブを紐づけて成果に繋げる行動を取るということをやっていかないとと思っています。

石川さん:
有給を無制限に取り放題とかは、性善説じゃないですか?

れいっち:
それは性善説というか、人事から「一生有休取得して副業でダブルワークして稼ぐ人が出たらどうするんですか?」と言われたことがあるんですが、もし不都合が出れば中止すればいいと思いました。
インターネット的に制度を捉えると、改善していくという考えです。

石川さん:
給与自己申請制度に関して、高く交渉する方がモチベーションが高くなる。経営層からすると、相場より低く設定してもらったほうがありがたいのですが、モチベーションの高い人に関しての対応はどうしていますか?

れいっち:
ゆめみは謙虚なメンバーが多くて、経営層がメンバーにいかに給与をあげてもらえるかという戦いで、強制的に給与を上げる制度を作っています。
「職位ガイドライン」を作ってから、8-9割くらいの社員が相場に合った給与を自分たちで決められるようになってきています。
技能に関するチェックができる独自システムがあり、自分でチェックリストを作りその上でレビューを通していくので、謙虚な人にも適正に評価ができるようになっています。
ただ、100人にひとりくらい自己評価が高すぎる人がいて、その場合プロリクは否決できないので、例えば「5000兆円がいいです」とか言ってきたら、僕が「いやいや無理、800万円ね」ってすかさず上書きしてワークフローに800万円で申請してもらって可決する流れです。
一度修正されたその人は、ガッカリしてその次申請するのに時間がかかったりするので、逆に僕から「そろそろ上げてもいいんじゃない?」と声をかけるなどして、人間的なやりとりもあります。

採用基準について

石川さん:
面談でこだわっていることや採用基準はありますか?

れいっち:
ある本で読んだんですけど、マネージャーが要点を決めていれば、裁量で採用ができるっていうのを見て自立分散型だなと思ってやった時期があったんですよ。
僕がNGっていってもマネージャーがOKなら採用した結果、すごい離職率が上がったんです(笑)
人の見極めってこんなに難しいんだと思って、逆に振り切って、すべて私が決めるってことにして、一次面接は見極めなくていい、飲み会みたいな雰囲気でやってって言って。
最終面接とコーディングテストなどそこだけで見極めています。
今は離職率も下がってうまくいってるんですけど、見極めをどういう風に平準化していこうかと悩んでいます。

石川さん:
見極めってスキルですよね?

れいっち:
事前に質問内容を伝えて何気ない会話しています。
その会話で明らかにゆめみに合う人を選ばせていただいてます。
もしかしたら鋭い質問をしていたら、落ちた人の中にも受かっている人もいるんだろうなって感じですね。フォールスネガティブを許容する形です。

最終面談でみるポイント

石川さん:
優秀な人よりも素敵な人を取りたいと思っています。最終面談では、最後の質問に注目してます。素敵かどうかは、どういう質問をするかということを見ています。

れいっち:
いいですね。これからの時代はパラレルワークなどもあって、すごいビジョンや強烈なミッションとかだけで引っ張っていく、スタートアップ以外の一般論だと同質的なマネジメントだけだと難しいと思っています。
そこでジョブエンベディットネスの考え方で「別にビジョンとかにそんな共感しているわけではないけど、なんか居心地よくて離れられないんだよね」という気持ち。その人のキャリアや専門性を高めていく中で、他の会社ではできないような役割を用意しています。
たとえば、マイスターエンジニアという役割があって、ただ品質の高いコードを品質高く書くだけで他のことはしなくていいというもので、他社だとそんな役割はなくて難しいです。
だから、私が最終面接で見ているのは、その人がどこまでキャリアを専門性高くやっていくかというところと、それが自社にハマるのかを見ています。

久保さん:
スキルよりもモチベーションの感情のところを見ています。社会で辛いときにどういう意思決定をしてきたのかとか。スタートアップって心が傷つくことも結構あって、あまり潔癖じゃないかということに注目しています。ストレス耐性なども含めて「最近起こったことは何ですか?」というような質問をすることでネガティブリスクを排除しようとします。

本日の感想&自律分散型の価値とは

久保さん:
現場は楽しいという声があがっていて、辛い日があっても、やっていることがすべて自分にかえってくるのでジブンゴト化でき、自立したメンバーと働ける、組織として強くなるのがとてもいい部分かなと思います。

れいっち:
自律って個人ベースではフルコントロールされている。組織で言うと自己決定できているのが自律。人が多くなったら分散。チームが増えたらレビュープロセスが協調になっています。
自律・分散・協調がうまくワークしている状態が理想です。プロトコルによって信頼感が高まって従うようになってきます。
決まったからにはその通りに動くという社風があって、ある意味機械のようにみんなが動いているプロトコルってすごいなと思っていて、大切さも実感しています。

石川さん:
CTO協会に入っている2社とも自立分散型組織をやっているというお話を聞いて、これからの時代はそうじゃないとエンジニアは採用できないよってことなのかなと思いました。
今日は素晴らしいお話をありがとうございました!


株式会社ゆめみ

2000年の創業以来、400社以上の企業と共に全世界5,000万MAUに達するデジタルサービスを世に送り出してきました。圧倒的な成長環境を重視しており、全員CEO制度、有給取り放題制度、給与自己決定制度、勉強し放題制度、フルリモし放題制度、副業し放題制度など数々のユニークな制度があります。DX・内製化支援により「アウトソーシングの時代を終わらせる」ことをミッションに掲げ、中期ビジョンとしては100社・1億MAUを目指しています。

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Web3×NFT×DAOというキラーワード満載で熱くお話させていただきありがとうございました(^^)✨
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