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組織に人間中心設計を浸透させるウメちゃん先生とドラゴン 後編

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組織として、常に変革しながら成長し続けるゆめみ。人間中心設計もしかり、数年前に起こった資格取得の小さな波が、いまや全社を巻き込む大きな渦と化している。
そのムーブメントを先導する有資格者に取材し、ゆめみの全方向エンゲージメントの〝現場〟に迫ります。今回もナビゲーターはゆめみ探検隊長兼アウトなライター、川口が務めます!
(インタビュー・文/ライター川口)
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▼前編はこちら!



HCD専門家/スペシャリストインタビュー後半戦。

本記事では試験の攻略法ではなく、よりパーソナルな体験や組織(会社)としてのHCD普及・促進などについて紹介中。しかしそれでも触れずにはいられないのが、資格要件とされる「コンピタンスマップ」です。

こちらの2ページ目にあるものが「コンピタンスマップ」です。

……どうですか、皆さん。ご覧いただけましたか? 知識がない状態で見てしまうと、いきなり気持ちが萎えませんか?(笑)

後編は、この資料を読み解き、コンピタンスマップを作成しきるという偉業を成し遂げた猛者へのヒーローインタビューでスタートです。



川口:コンピタンス資料を細かく追っていくと、そこまで専門用語が飛び交わないよう、できるかぎり平易な表現になるよう記載を工夫してくれている跡は見受けられるのですが.......結果として一体何を求められているのか、活字慣れしているはずのライターであってもなかなか概念を理解するに至れず、情けないかぎりです。

ウメ:大丈夫ですよ。事前に参加した受験者説明会でも、HCD-Netの人が言ってましたもん。「人間中心設計といいながら、説明資料は人間中心設計になっていなくてすみません」って。(笑)

まあ、特殊なアプローチですからね。そもそもは人間工学に基づいてるんだっけ?

ありーず:根源はそうだったと思う。でもみんな決して人間工学までをすべて網羅しているわけじゃないし、そこからの理解が必要とされるわけでもないからね。

コンピタンスマップにしても、最近の学生は授業で習ったり、HCDプロセスを前提に物事を考えたり体験できたりするんでしょうけど、僕ら世代は逆。やってきたことを後付けでコンピタンスに落とすという作業になるので、いくら日常業務でサービスデザインやUXに携わってきたとしても、いざ書類を作成するとなるとなかなか難しいものですよ。

ウメ:僕自身は2010年頃からデザイン思考に触れはじめたんですけど、それに関してはちゃんと先生の下でテキストに則って学んで、かつ自身が人に教える側になるという段階を踏んできたので、言語化するとか体系化した枠組みに落とし込むという流れには馴染みがあったし、人よりも順応できる部分があったとは思います。

もしまったくそういった理論的なことに触れたことがない場合、たとえ超実践的で完全なるHCDプロフェッショナルであっても、コンピタンスマップに落とし込めなくて資格取得に至っていない、という人もまわりに眠っていそうな気はしますね。自分がやっていることをHCDプロセスに沿ってタグ付けできないというか。

って、そんなこと言ってる僕自身がしっかりと試験に落ちてるんですけどね(笑)。

川口:実際に周囲で、特にゆめみは社を挙げて資格取得に臨むような文化があるから多いと思われますが、そういった悩める人を見るとサポートしてあげたくなる感じですか?

ありーず:たとえば、同じプロジェクトに関わっているメンバーに、いまやった作業はこういう能力に当てはまるよね、みたいな考え方のアドバイスはしますね。

川口:それ大事。「気づき」を与えてくれる人が身近にいるって大きいですよね。理解度が断然違ってくるし、HCDや資格取得に対する興味や距離感にも影響すると思う。

ウメ:そこまで含めて振り返れば、HCDの資格試験って実に「人間中心」かもしれないですね。

川口:その心は?

ウメ:資格取得者を増やすことや、HCDの概念的な普及を目的とするなら、試験をマークシートや記述式にすれば簡単な話ですよね。もちろんいまの方式でも、こんな感じで書けば大概受かる、みたいな模範解答や合格のための明確なポイントがあれば受験者も対策のしようがある。

でもそうせずにここまでクセのあるやり方で実施するということは、デザインやUXを正面から学んだかどうかに関係なくいろんな人が受験できて、現場での実践などで培った個々のアプローチとしてHCDプロセスをどう実現しているかを見てくれようとしている。有資格の従事者が審査するというのもそういう視点なのかなとも考えられますよね。

不合格だったから絶対的にNGというわけでも、一から勉強し直せでもなく、現状不足している部分を次回までに補って提出すればいいというのも、実に人間的かなと。再チャレンジしやすいですからね。

川口:目からウロコ! そういう観点はなかったですね。けど、それならHCDがいろんな業界や業種にどんどん広がっていっているいまの流れにもリンクするし、そんな動向にも対応できる受験スタイルだってことですもんね。すごいぞ、HCD-Net!

しかしそれだからこそ、足の重い最初の一歩を何とかして踏み出したいところですね。あのシートでは手も足も出ない.......

ありーず:確かに真正面から飛び込んで、いきなり書いてみろと言われたら誰でも最初は戸惑うだろうし、一歩を踏み出すのもなかなか難しいものですよね。たとえば、日頃一緒にプロジェクトを動かしているメンバーと、「いまやってる作業ってHCDでいうあの能力につながるよね」とか「こんなテーマでディスカッションしてみるのはどうですか?」みたいな提案から、すんなりHCDに触れていけるような流れを組めるといいですよね。

ウメ:クライアントとのワークショップなんかで、多様性の担保として営業メンバーとかゴリゴリのエンジニアとか、デザイナー以外にも参加してもらう機会が多いんだけど。そこでも日頃意識的にはUXに触れていないメンバーのほうがいい発見をしたり、HCDの感覚を持っていたりする。そうした体験も実績として反映できるし、本人は気づいていないけど実は資格に近いところにいるという。

川口:それを気づかせてあげて、そっと背中を押してあげるだけで一歩が踏み出しやすいですね。しかも、受験のために実践するんじゃなくて、日々の業務が自然とマップ化できればハードルは下がりますし。身近に専門家やスペシャリストがいると、そんな特典もあるんですね。

というか、専門家のコンピタンスには教育や指導という規定項目もありますもんね。有資格者がさらに周囲を育成してHCDを広げるという無限サイクルまで盛り込まれてる試験システムって考えると、恐ろしいまでに緻密なプログラムですね。

ウメ:そう思えば、ゆめみはいろんな意味で資格が取りやすい環境だといえますよね。有資格者が多いから教わることもできるし、指導の中でこちらが教えられることも多い。HCDのアプローチが解決策となる案件や、意識的に取り込もうとしているクライアントにも恵まれているので、必然的にこちらの提案がHCDのアプローチになっているとか。受験のために何かやらなきゃ、ではなく、自然と身につくような環境といえるかな。

個人でも社としても積極的にアウトプットしていこうとする風潮もあって、外部への啓発という項目もクリアしやすいしね。

川口:組織的にHCDの普及や浸透を促す体制があって、さらにそれをけん引する有資格者がどんどん増えていって、成長を加速するという驚異の好循環! ゆめみの真骨頂ですね。ますますパワーアップしそう。

ありーずさんも個人的なステップアップとして、次は専門家を目指されてます?

ありーず:はい、今年受験予定です。

一同:おおおお!

ありーず:でも、ちょっとまだ一歩を踏み出せないものがあって.......僕、前回提出したスプレッドシートのデータ、手元に保存できてないんですよね。

川口:えええええっ!(震撼)

ウメ:出た、HCDあるある!(爆)

受験者専用のフォルダが送られてきて、提出もGoogleDocs上で行うので、自分の手元に残すのを忘れがちになるという。社内でも何人かやらかしてますね。

▲ゆめみC.DOのMakoto Soneさんのこちらの記事もぜひご覧ください

川口:あるある、なの!? 一説には十数万字ともいわれるあのデータファイルが消えることがあるあるなんですか? 怖い、怖すぎる!

ありーず:HCD-Netの名誉のためにも断っておきますが、これはあくまでも僕のミスですから。提出にあたっての注意書きにもしっかり、

注)審査書類提出後は、編集(記入)された審査書類へのアクセスはできなくなります。各自提出前に審査書類のダウンロード保存をお願いします。

と書かれていますので。それでも期限間際って余裕がなくて。一週間寝ないで作った感じで、気持ちも焦っているからつい提出することだけに気を取られてしまって。提出後一段落して、よしダウンロードしておくか、と思ったらもうデータにアクセスができないという......

川口:聞けば聞くほどつらいっすね。けれど本当にあった怖すぎる話。どうか皆さん、くれぐれも提出前にデータをダウンロードすることをお忘れなく!

そんなわけでありーずさんは、また一からあのシートを作られるのですね。

ありーず:……はい……

川口:声ちっちゃ(笑)。 でも、ウメムラさんもゆめみでの豊富な実績をもとに二度目は一から作られたってお話でしたし、ありーずさんも前回以降、いろんなプロジェクトに参加したり、勉強会を開催したり。HCD-Netのアワードにもクライアントと参加されたりと、あらゆるベクトルでコンピタンスを発揮されてますもんね。


データ消失で気持ちがしおれた部分はさておいても、実践内容としては余裕なんじゃないですか。

ありーず:そう、ですね。確かに二年前ではブランクになっていた要素が埋められるようになったという実感はありますね、勉強会やワークショップも積極的にやって、専門家にある教育プログラムや人材育成といった部分の経験も充実してきましたね。

ウメ:そろそろありーずが「ドラゴン桜」みたいに生徒集めて、熱い授業を繰り広げてくれると思うので。

川口:あ、もうありーずさんが阿部寛に見えてきた(ウメムラさんという、超優秀ながら強烈なキャラクターを持つ教師もいることだし、という言葉は飲み込んでおきます)。

実際、社内の人材育成に限らず、いろんな企業やHR部門の人から名指しでHCD教育についての相談や指導依頼が来てもいい話で。ゆめみにはいろんなパターンの有資格者がそろっているから、多様なニーズに合わせて先生も選びたい放題ですもんね。

ありーず:いやいや、僕なんかはまだまだですけど、ウメさんは専門家で理論も実践もできるしね。

ウメ:あと一度落ちた経験もあるから、その辺も生かして手厚いアドバイスができますよってね(笑)。 HCD専門家の品位を下げぬよう、しっかりがんばりたいと思います。

ありーず:品位の話ではないですが、僕、専門家よりもスペシャリストのままでいたいんですよね(笑)。

川口:ここにきて何のカミングアウトですか!(爆)

ありーず:いや、ビジネス的な価値としても、マネジメントができるという実質面においても専門家というポジションは大きいし、自分の中のチャレンジではあるんですけど.......肩書きの響きとして、「専門家」より「スペシャリスト」っていうほうが何だかかっこいいじゃないですか。

川口:そこなんかーい! ありーずさんってじわじわ面白いですよね。さすがゆめみ、個性の宝庫ですわ。

ウメ:ほかにも個性豊かなスペシャリストがいますので、ぜひこの後突撃してみてくださいよ。キャラクターとしてだけじゃなくて、営業とかエンジニアとか、いろんな職域の人が資格を持っていたり、これから取ろうとしていたりするので。

何ならゆめみで最初にHCD資格を取ったの、デザイナーじゃないセールス部門の人間ですからね。

川口:実にゆめみらしい。そういう一筋縄じゃないとこ、好きですよ。ちなみにどなたですか?

大塚:染矢さんです。

川口:あの染矢さん! 噂の「忙しすぎる取締役」ですね。いつも「さっきまでいたんですけどね。呼ばれて次に行っちゃいました」とか、「スケジュールに1ミリも隙がないです」でおなじみの。何度も影と気配だけは拝見してますが、取材なんてできるんですかね?

大塚:大丈夫です、何とでもします。

川口:毎度のことながら心強いです。長澤まさみレベルの最強バディです。
それでは次回も引き続き、「突撃、隣のHCDスペシャリスト!」でお届けしたいと思います。

そしてウメムラさんや、ドラゴンならぬドリーム桜・ありーずさんの面白そうな動きやイベントがあれば、全力で追っかけます。

本日は、遠い存在のHCDを身近に引き寄せる、全ユーザーにやさしい貴重な授業をありがとうございました!

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